ケースワーカーさんから突然尋ねられた。
(あ、職場での私の隣のエリアがケースワーカー集団なのですね。)
「のぶくんがあまり気が進まないことをさせる時、どうしてるんですか?」
「う~~~ん…それはその原因にもよると思うけど…」
よくよく話を聞いてみると
そのワーカーさんが担当している知的障害を持つ男性が
なかなか仕事に行かないらしい。
ヘルパーさんが来る時は行く。来ない時は行かない。
でも朝が弱いわけでも、身の回りのことが出来ないわけでもない。
だからヘルパーさんが行ってもすることがない。
ヘルパーさんがわざわざ行く意味がないのだそうだ。
さらに聞くと
お給料を貰ったら買いたいものとか
夢中になれる趣味とか
休みの時に一緒に遊びにいく友達とか彼女とか
要するに「働くためのモチベーション」がないのだ。
もっとよく聞くと彼はかつて
同じように知的障害を持った女性と結婚していて離婚したんだけど
その女性のことが忘れられずにいまだに
結婚指輪をしているのだそうだ。
あ~そうっかぁ…
でもそれってさぁ。
障害のない男性であっても
離婚っていう大きな喪失体験をしたらば
同じような状況になるんじゃないかしら?
むしろもっとひどい状態になる人の方が多いと思う。
実家に帰ってママに身の回りのこと全部してもらったりさ。
その彼は偉いよ…。ちゃんと自立できてるんだもの。
率直に私はそう思った。
だからこそ、その彼が
また誰かとつながることができたらいいのになぁと
本当に思った。
そういう人のための
「健全な出会い系」ってないんだろうか?って
切実に思った。
でもワーカーさんの立場からすると
それはきっと仕事が増えるだけのことなのだろう。
障害を持った人が恋をして
結婚して
子どもができて…
その段階ひとつひとつに
必ず誰かの援助が必要になってくる。
そしてそれらの全てが
必ずしも幸せな結末にならないことも現実だ。
かつての私がそうだったように
いつかのぶくんも誰かを好きになるだろう。
上手くいけば恋におちて結婚するかもしれない。
そして子どもができるかもしれない。
そうなったら大変なことがいっぱい待ってることは
容易に想像できる。
私だけじゃなく
たくさんの人の手を借りなければ成立しないだろう。
だけどそれを「援助が大変だから」という理由で
私は制限したくない。
できるならば自然の流れの中で
少しずつ幸せを積み上げていって欲しい。
もしも幸せな結末にならなかったとしても。
のぶくんが本当に好きでずっと一緒にいたいと思う人が現れたら
全力でサポートしたいし
彼自身にチャレンジさせたいと思う。
そんなことを考えさせられた。