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バツイチ歴8年目、育児に仕事に忙しいママの日記です
by norah0918
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たいちゃんが教えてくれたこと

私は
今から5年ほど前
この仕事に就くまでに
保育士として公立保育所で
アルバイトをしていました。

保育士として働き始めたのは
すでに30を過ぎていて
保育士としてはかなり遅いスタートだったけど
自分にしかできない保育が
きっとあるはずだと思いながら
毎日子どもに接してきました。

子どもといる時間は
私にとって何にも代えがたい
大切な時間でした。
障害児しか育てたことのない私にとって
ふつうの子どもってこんなんなんだぁって
新鮮な発見ばかりでした。

ある時、妊娠した保育士さんに代わって
障害を持った男の子
3歳になったばかりの「たいちゃん」に
加配保育士として付くことになりました。





たいちゃんは少し珍しい障害をもっていて
見え方の矯正するためメガネをかけなきゃいけなかったり
足首が内側に曲がりやすいので
ハイカットの特別な靴を履いていて
体重制限もあるので
給食をお代わりさせないでくださいと
お母さんから言われていました。
認知面では
言葉は話せるものの
少し自閉症と似た行動をとることがありました。

前の加配の保育士さんは
かなりベテランさんでしたが
少し厳しい接し方をする人でした。
たいちゃんが
自分の思いが通らなかったり
それをうまく表現できずに
泣いたり、保育室から出てしまっても、
きつく叱ったあと放置するようなタイプの人でした。
しばらく泣かせておいて
叱りながら連れて帰ってくる…繰り返しでした。

私はまず
たいちゃんの気持ちに寄り添うことと
時間がかかっても待つことから始めました。
それがその時のたいちゃんと信頼関係を築くために
必要不可欠だと思ったからです。

たいちゃんは少しずつ少しずつ
「~したいの」と
自分の思いを伝えてくれたり
「今は~できないけど、○○が終わったらできるよ。」
という提案を
受け容れてくれるようになっていきました。

保育所で
私はいつもデジカメを持っていました。
たいちゃんの生活に関わるもの、人、
手当たり次第に撮っていきました。

「いす」「おかあさん」「おままごと」「おやつ」
「コンビカー」「ジャングルジム」「ズボン」「しょうどく」…
今でも私のパソコンの「たいちゃんTEACCH」フォルダに
懐かしい写真がたくさんあります。

たいちゃんは言葉を話せましたが
こちらの思いを正確に伝えたり
何が欲しいのか、やりたいのか
たいちゃんに選択してもらう場面では
やはり視覚支援は欠かせませんでした。

私はまた一から
視覚支援について勉強し直しました。
一番気をつけなければいけないのは
こちらの一方的な指示や思いを
押し付けてはいけないということ。
あくまでも本人が選択したり思いを伝えるために
必要な支援なのです。

今では随分保育所でも視覚的支援を
取り入れてくれるようになったそうですが
その時その保育所で
そんなことをしている保育士は私しか居なかったので
「たいちゃんだけ特別扱い?」的な目が
同僚の中にあったことも確かです。

でも私は平気でした。
何故ならこの支援によって
絶対にたいちゃんの生活がしやすくなり
絶対にたいちゃんの世界が広がるという
確信があったからです。
のぶくんがそうだったから。

たいちゃんが穏やかに生活できるようになり
笑顔が増えてきたのと同時に
周りの子ども達も変わってきました。

「この写真なに?」
「たいちゃんブランコの後スケーターやりたいんだって」
今まで無関心だった子どもが
たいちゃんに興味を持つようになってきました。
たいちゃんも少しずつお友達を意識するように
なってきました。

そんな矢先
私は今の仕事の採用試験に合格し
その保育所を年度途中で退職することになりました。
本当に本当に
後ろ髪を引かれる思いでした。
自分が始めてしまったことを
途中で放り投げてしまうこと
本当に申し訳なく思いました。

たいちゃんのお母さんにそのことをお伝えした翌日
とても丁寧なお手紙と
たいちゃんの描いた絵を
いただきました。

前任の保育士さんと
うまく意思疎通ができず
とてもしんどかったこと。
担当が私に替わってから
その日に保育所であったことを
いっぱい話してくれるようになったこと。
叱られたことでも、
のら先生は愛情を持ってくれていたことは
ちゃんとたいちゃんに伝わっていました、と書いてありました。

そしてお絵かきが大好きなたいちゃんが描いてくれたのは
大きな口でニコニコ笑っている私の顔でした。

たいちゃんは今小学校2年生。
元気で学校に行っているのかな?

たいちゃんが教えてくれたことは
私の大きな財産です。
いつかきっと
成長したたいちゃんに会えることを楽しみに
この場所で頑張ろうと思います。
by norah0918 | 2007-12-02 00:15 | プロフィール